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材料・設備・技術
技術データQ&A
Q&A 皆様からよく頂くご質問について記載しました。
鋼製ボルトの強度区分、12.9の意味
12 .9 下線の様に12と.9に分けて説明します。
12→(1)引張強さを表す。
.9→(2)降伏比(耐力)を表す。
(1)引張り強さの最小値1220N/mm2の≒1/100を表している。
(2)引張強さに対する降伏比(耐力)を表している。
.9=90% 1220×0.9≒1100
※JISB1051参照。
ステンレス鋼製ボルトの強度区分、A2-70の意味
A2の部分と70に分けて説明します。
(1)A2=鋼種区分を表す。→これがAと2に分けられる。
A=鋼種区分:オーステナイト系ステンレス鋼
2=鋼種に含まれる化学成分の範囲を示す
(2)70=引張強さの1/10の数値を表す
70→引張強さに最小が700N/mm2
※JISB1054-1参照。
ステンレスボルトの組織区分
マルテンサイト、フェライト、オーステナイトとは
マルテンサイト、フェライト、オーステナイトとは金属組織による分類を示し、それぞれの結晶構造を有しています。
また、成分と硬化性により、下記に分類されます。
組織区分
|
マルテンサイト
|
フェライト
|
オーステナイト
|
---|---|---|---|
主成分
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10%、クロム
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18%、クロム
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18%クロム、8%ニッケル
|
硬化性
|
焼入れにより硬化する
|
非焼入れ硬化性
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加工硬化性
|
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疲労破壊とは
1.ボルトの締結体で外力が繰返し付加される場合、ボルトに加えられる荷重はボルトの弾性限度内であっても、ボルトが破壊するケースがあり、この様な場合の破 壊を疲労破壊と呼んでいる。
2.破断面の特徴としては下記の如くです。
(1)マクロ的観察:1)ボルトに伸びた形跡が殆ど無い。 2)破断面に貝殻状の縞模様が見られる。
(2)ミクロ的観察:1)走査電子顕微鏡等の観察で、ストライエイション模様と言われる形態が観察される。
3.原因
(1)適正締付け力による締付け
(2)締結体でボルトの受持つ外力の比(内外力比)がボルトの疲労限度を超えた場合
4.対策
(1)締付け不足によるゆるみ
(2)増締めの実施
(3)設計外力の見直し
(4)熱処理後転造ボルトの使用
(当社では、耐疲労破壊用として熱処理後転造した、六角穴付きボルトを スーパーCapと称して販売しています。
当社営業部へお問い合せ下さい。)
遅れ破壊とは
1.高強度ボルト締結体が静的な外力を受けた状態で、ある時間が経過後に突然破壊する現象を言います。
2.破断面の特徴としては下記の如くです。
●マクロ的観察
1)破断面がゴツゴツとした岩肌の様に見える
2)破断面がギラギラと光っている様に見える
3)ボルトに伸びた形跡が殆ど認められない
●ミクロ的観察
1)走査電子顕微鏡観察で粒界破面が認められる
3.原因
(1)腐食による水素の影響
使用期間中に腐食反応で発生した水素が鋼の結晶粒界に浸入して応力集中部にミクロクラックを発生させ、これが除々に進行して行き破断に至らせる。この場合の破断までの期間は数カ月から数年。
(2)強度の高いボルト(12.9等)への電気亜鉛めっき工程中で吸蔵された水素が上記と同様の経過をたどって破断するこの場合の破断は締付け後72Hr以内に発生するケースが多く、(1)の破断とは異なり水素脆性による破断と言っている。
4.対策
(1)塗装等の防錆処理を確実に行い錆発生を防止する
(2)遅れ破壊の感受性の低い素材によるボルトの製造
(3)高強度・高耐食性素材への変更
※耐食・耐熱ボルトのページを参照下さい。
(4)高強度ボルトへの電気亜鉛めっきの中止
(5)遅れ破壊の危険の少ない表面処理の採用
※表面処理のページを参照下さい。
ステンレスボルトの焼付きについて
主にSUS304系のステンレスボルトを締付け中に締付けが出来なくなったり、締付け後に取外しが出来なくなったりする現象を言います。
●原因
(1)材質的要因
1)一般論としてSCM435の様な鋼と、SUS304系のステンレス鋼の間には焼付き・カジリに関連する要因として、熱伝導率と熱膨張係数 の違いがあります。
材 料
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熱伝導率 (W/m.℃)×102
|
線膨張係数 ×10-6
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鋼
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0.58
|
11
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SUS304系ステンレス
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0.16
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16.4
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鋼との比較
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鋼の約1/3
|
鋼の約1.5倍
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数値の意味
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ステンレスは熱が伝わり難い
|
ステンレスは膨張し易い
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上記の如くの差異があり、おねじとめねじの嵌め合い面で僅かな変形が発生した場合、そのまま締付けが続けられると、
上記性状によりその変形が助長され、カジリや焼付きになると考えられています。
●その他の要因
1)軸心の移動が発生する様な締付け形態
○スプリングワッシャの使用、ワッシャが密着するまでにカジリが発生する場合がある。
○ゴムパッキンの様なものを締付ける。
2)ねじ部のバリ、カエリ、ねじ部の打痕
3)ねじ部へのゴミ等の異物の付着
●対策
(1)軸心の変動が発生する様な締付け形態の変更
(2)バリ、カエリ、打痕の有るボルトを使用しない
(3)ねじ部に付着しているゴミの除去
(4)ニ硫化モリブデン等の固体潤滑剤叉は潤滑油の塗布
※表面処理のページを参照下さい。